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学校を卒業して、就職が決まらないまま社会に出ている人は年間10万6千人と、実に5人にひとりの高率に上っている。また、景気の悪化等を受けた有効求人倍率の低下等から、学校を卒業したまま、ただの一度も仕事についていない人が12万人に上るなど、就職氷河期をさらに越える非常に厳しい状況が続いている。この結果として、税収の減少、個人消費の低迷、生活保護費の増大などが顕現化し、今や単に個人レベルの問題ではなく、国全体として真剣に考えなければならない大きな問題となっている。 |
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加えて企業側が、既成概念にとらわれず、チャレンジ精神旺盛でグローバルな人材を求めているのに対して、今の若者は新しいことに挑戦したり、自分の生活を犠牲にして会社に“滅私奉公”するよりも、従来の“年功序列”を希望し、出世はしなくても食べていけるだけで充分、といった保守化・内向き志向が増えている。これは、ただ若者だけに原因があるのではなく、現代社会は努力すれば報われるというものでもないこと等、親の世代を見てきたことによる“あきらめ”が背景にあると考えられ、今の若者の職業観の変化は、社会環境の変化によるものと受け止めるべきである。 |
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また、わが国の全企業(421万社)のうち、99.7%(419万社)が中小企業であり、全従業員の約7割が働いているにも拘らず、学生達はインターネットの大手就職サイトに求人を掲載しているほんの一部の有名な大企業の中から就職先を選択している。この結果、大卒新卒者においては、従業員5,000人以上の会社の有効求人倍率が0.47倍である一方、300人未満では4.4倍の高率になるなどのミスマッチが生じている。
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若者の就職支援やキャリア教育に携わっている私たちは、若者に対して、「ネームバリューや会社の規模で就職先を選ぶより、自分の能力を活かして社会に貢献でき、働き甲斐を感じられるかどうか、ということをポイントに選ぶべきであるということ」、「人間の幸せは、“人の役に立つこと”、“人から必要とされること”が大きな要素を占めており、これは若い人にとっては働くことによって達成される面が大きい」ということをしっかりと伝え、若者の自主自立の心を育ててゆくことが大切であると考えている。 |