(いちのせ かつみ
氏講演要旨) |
人間が幸せに生きていくためには、“健康・生きがい・良好な人間関係・お金”が必要である。しかしながら、お金について人前で話すのは悪いことだという考えが根強い。
日本人は、諸外国からエコノミックアニマル(利益を追求する動物)と言われているが、お金について勉強しないため、様々なトラブルに巻き込まれるケースがあとを絶たない。 |
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投資を考える前に自分の財産を守れるようにしておかなければならない。自分
を守るための法律をしっかり理解しておくことが必要である。
それでは、自分を守るためのクーリングオフ制度についてどのくらい答えられるだろうか(解答は末尾)。
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気に入った商品があったので、セールスマンに自宅に来てもらい商品を購入
した。3日後のクーリングオフは可能か。 |
A |
テレビショッピング・通販で健康器具を買った。商品が思っていたよりちょっと大きかった。クーリングオフは可能か。 |
B |
雑誌の広告を見て展覧会に行った。気に入った絵があったので、その場でロ
ーンを組んで購入したが、家に帰って気が変った。クーリングオフは可能か。 |
C |
街を歩いていたら声を掛けられ、英会話セットの契約をした。その際に「クーリングオフはしません」という同意書にサインした。クーリングオフは可能か。 |
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自分は知っていると勝手に思い込んでいることは実は大変怖いことがある。オレオレ詐欺についても、警察官や医者など様々な立場の登場人物が次々に登場する「劇場型詐欺」と呼ばれるものが多発している。詐欺の電話は、誰にも相談させずに銀行が開いている時間に振り込ませようとするため、金曜日の午後1時以降に掛かってくることが多い。 |
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最近では自宅に現金を取りに来るケースも増加している。騙されないために、
変な電話などがあった場合には、自分だけで解決しようとせずに周りにも相談
しながら対応してほしい。 |
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70歳以上の方に、「あなたはこれから何を大切にして生きたいですか」と聞くと、男性と女性では考え方に違いがあって興味深い。男性は、1位が「夫婦のだんらん」、2位が「子や孫とのだんらん」、3位が「自分の趣味」であるのに対して、女性は1位が「自分の趣味」、2位が「地域との交わり」、3位にやっと「子や孫とのだんらん」が出てくる。
男性が家族愛や絆を求めているのに対して、女性は自立して生きたいという願望を持っている。このため、詐欺のテクニックも、男性に対しては「投資をして奥さんと旅行にでも行きませんか」と言うのに対して、女性に対しては「友達と旅行に行きませんか」とか、「友達も持っていますよ」といった言葉を使う傾向がある。 |
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今から30年前には、「ビッグ」・「ワイド」といった金融商品があり、利回りは9.6パーセントも付いていた。それに比べると今は超低金利の時代である。
この時代だからこそ気を付けなければならないことがある。若い人は低金利に慣れているが、年齢の高い人ほど高金利を求め、そこに騙されやすい弱点があるので要注意である。
さらに、最近は物価が下がっているにも拘らず、学費は上がっているという状況にある。給料は下がり貯金はできない状況の中で、今の親は、自分の親がしてくれたからと言って、親と同じように子どものために貯金をしようとすると自分たちの老後資金を蓄えることができない。これからは、子ども自身が親のお金に頼らず、自分の力で生きていく力を身につけさせる育て方をしていかなければならない。 |
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最後に、日本人は「みんながやっているとおりにする」ことを重要視する国民性である。だからこそ騙されたり危ないケースも出てくると思う。一度でも騙されれば金額の多少にかかわらず心に傷を負う。悲しい思いをしないためにも、みんながやっていようと、自分で考え、自分の責任で行動することができるように知恵をもって生きて頂きたい。 |
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(クーリングオフ
問題の解答) |
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できない。自分から電話を掛け、セールスマンを呼んだ場合はクーリングオフの対象外。 |
A |
できない。テレビショッピング・通信販売はクーリングオフの対象外。ただし会社が返品に関し定めていれば、それが適用される。通信販売業者に対し、「返品特約の表示を消費者が容易に認識できるようにしなければならない」と定められているため、カタログ等をよく確認することが大切。 |
B |
できない。キャッチセールスの場合はクーリングオフが可能であるが、事例のように自分の意志でお店に行った場合には対象外。 |
C |
できる。そもそも「クーリングオフしません」という同意書を書かせることそのものが違法である。 |
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