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住田 裕子弁護士を講師に「金融経済講演会」を開催しました
(2月4日)
─テーマ「気をつけよう!金融トラブル」

 

  2月4日(土)、別府市中央公民館おいて、住田裕子弁護士を講師に「気をつけよう!金融トラブル」と題して「金融経済講演会」を開催し約190名の方が参加しました。

 
講演に先立ち、阿南 敏晴 別府市副市長が、「近年の金融詐欺の巧妙化や未公開株詐欺などにより悪質商法の被害が拡大している。警察庁の発表によると、平成23年中の振り込め詐欺による被害額は127億円を超えている。これらの被害を防ぐためには、自分は絶対に騙されない、という強い気持ちを持つことが大切であるとともに、悪質業者の手口や実態などを知ることが重要である。本日の講演を是非とも生活の中に活かして頂きたい」と述べました。

  
また、講演会の最後に、大分県金融広報委員会の大政 浩一 副会長(日本銀行大分支店長)より、閉会挨拶が行われました。挨拶では、国内景気について、「海外経済の減速などから横ばい圏内の動きとなっている」と述べた上で、本年の県内景気の見通しについて、「個人消費が底堅いほか、復興需要も少なからず波及するため、それほど悪くならないのではないか」との話がありました。

 

(住田 裕子弁護士講演要旨)

1.契約とは?むずかしいもの?

 
 次のような場合、契約は成立しているのでしょうか?

店員: 「いかがですか」
客 : 「いいねえ」
店員: 「人気商品でこれが最後なんです」
客 : 「確かにいいねえ」
店員: 「今日にでも売れてしまいますよ」
客 : 「うん。そうかもしれないね」
店員: 「それじゃあ,お取り置きしておき
 ますから」
客 : 「うーん」「・・・」

 

 契約は、「意思の合致」すなわち、申し込みがあってそれに承諾することで成立します。そうすると、客の「うーん」がポイントです。頭を縦にうなずけば、承諾(YES)ですが、首を横に振って「ううん」といえば、要りません(N0)ということです。日本語は曖昧です。悪徳業者、強引な業者は、曖昧なところにつけこみます。返事は、はっきりと。要らないときは、特に誤解の生じないように毅然と断りましょう。

 
 

 次の問題です。

 申し込まないのに書籍らしい包みが送られてきました。「1週間経過すると買ったとみなす」とあるのですが、契約は成立しているでしょうか?

 契約の成立のために、「承諾」をしているかがポイントです。送り主が勝手に買ったとみなしても、意味はありません。自分が承諾しない限り、契約は成立していないのです。それにも拘わらず、代金を払えと言うのは、悪徳業者です。払う必要はありません。
 と言っても、送られてきたものをどうしたらよいでしょうか? 特定商取引法では、このような場合(ネガティブ・オプション)について、商品が送られた日から14日間、または業者に引き取りを請求した場合は、その請求した日から7日間、のいずれか早い方が経過した後は、業者は返せと言えない、としています。ですから、放置しておきましょう。そうすると、2週間経過したらあなたのものになり、好きに処分ができるのです。なお、業者に連絡することはあまりお勧めしません。元々あなたの住所・氏名も確定していないまま、めったやたらに送りつけているのですから、連絡することによって逆にあなたの大事な個人情報を知らせてしまうことになります。

 

.契約を結ぶつもり=意思はあったか?誤解はないか?

 値札を読み違えて20万円の商品を2万円と思って購入申し込みをしてしまいました。取り消せるでしょうか?

 さて、契約は、意思の合致が必要と言いましたが、この「意思」に錯覚や誤解(錯誤といいます)があると、双方の意思自体に食い違いがあるので、契約は成立しておらず無効です。とは言え、重大な過失があれば、民法は無効とはしてくれないのです。0の読み間違いもありそうですが、漢字でもしっかり記載されているのを読み落とすなど、重大な落ち度があれば、だめです。契約に際しては、商品の価値・価格などをしっかりと確認することが重要です。
 

.自由な意思はあったか?強制はなかったか?思わぬ不意打ちのときのOKは? 

 浄水器の訪問販売が来ました。脅し半分の上手なセールストークがいつまでも続きそうに思われました。用事もありそろそろ帰って欲しかったので、根負けして購入の契約に判を押しました。もう取り消せないのでしょうか? 

 

もうひとつの例です。

 通行中、手相をみてあげると声をかけられました。「これは難しい相だ。別のところで師匠にみてもらおう」と連れて行かれ、そこで「災難が迫っている」と脅されました。その災難を逃れるために、効果的なものがあると言うので買ってしまったが・・?

 それぞれ、当初は、売りつける意図を隠し、強引な押しつけや恐怖感を抱かせた上での売りつけ行為です。そのときは、冷静な判断力がなく、術中にはまっての「承諾」ですから、このような売りつけ行為から消費者を守る必要があります。
 特定商取引法では、冷静になって、契約を切ること・・「クーリングオフ」を認めています。8日以内に解約すればいいのです。最近、消費者保護の制度が整備されており、商品の種類も問われないなど、「クーリングオフ」の制度が拡大しました。
 また、最近は法律も整備されつつありますが、悪質商法の被害に遭いやすいのは高齢者・若者です。泣き寝入りせずに、是非消費者相談センターなどにご相談ください。

 そのほか、まだまだ振り込め詐欺が横行しています。「還付金がありますよ」と電話連絡をして、銀行の窓口まで誘導し、カードで知らないまま振り込んでしまっている被害が最近続発しています。お役所の連絡方法は文書です。電話、それも携帯電話での連絡は怪しいと考えて間違いありません。
 変な電話・脅かすような電話が掛かってきたら、一呼吸おいて、「掛け直しますから」と言って一旦切りましょう。相手の言う番号が「090・・・」なら、放置が一番です。


 最後に1つ。

 「うまい話はあなたに来ない」と肝に銘じて。
 相手が親切かどうかで決めないようにしてくださいね。

 
「金融経済講演会」は、金融・経済等に関する知識を幅広い層の方が学ぶきっかけ作りの場を提供することを目的に、全国の金融広報委員会において開催しているものです。


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